
Sucker PunchがPS5向けに開発する大作「Ghost of Yōtei」の最新情報が公開。従来の「マップアイコンを追う」オープンワールドとは異なり、NPCとの対話で世界が広がります。自ら物語を紡ぐ、プレイヤーの選択が物語の展開を決めるノンリニアな構造と高いカスタマイズ性で、唯一無二の自分だけの冒険を楽しめます。
新たなオープンワールド体験
先日配信されたソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)の番組「State of Play」にて、PS5向けタイトル「Ghost of Yōtei」の詳細なゲームプレイ映像が公開されました。Sucker Punch Productions開発の本作は2025年10月2日に発売予定で、現在大きな注目を集めています。
前作「Ghost of Tsushima」の成功から高い期待が寄せられる中、公開された情報は、本作が単なる続編に留まらず、オープンワールドというジャンルの可能性を押し広げる意欲作であることを示唆していました。
発見の喜びを再定義する探索
近年のオープンワールドゲームが抱える課題の一つに、広大なマップがタスクで埋め尽くされ、プレイヤーが自ら発見する喜びを失いやすい、という点があります。「Ghost of Yōtei」は、その課題への明確な答えを提示します。前作では「風」がプレイヤーを導くユニークなシステムが採用されましたが、本作はその概念をさらに進化させました。
本作の探索は、単にマップ上のアイコンを追うものではありません。プレイヤーは世界に点在する敵を倒し、尋問することで「カード」を入手。このカードを管理することで、新たなクエストや未踏のエリア、貴重なアイテムの発見へと繋がります。この手掛かりシステムにより、プレイヤーの好奇心と選択が、そのまま冒険の道筋を創り上げていきます。それは、決められたルートをなぞるのではなく、自らの意思で世界を解き明かす感覚を味わせてくれます。
このアプローチは、かつて「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド」を彷彿とさせます。遠くに見える山に登れば、そこに新たな冒険が広がっているというように「Ghost of Yōtei」もまた、プレイヤーの視界に入るすべてが探索の対象となりうるのです。このプレイヤー主導の探索は、作業感を減らして没入感を高め、オープンワールドの新たなスタンダードとなる可能性を秘めています。
三者三様の表現モード
「Ghost of Yōtei」は、ゲーム世界の表現方法においても大胆です。前作で好評だった、往年の時代劇映画のように画面がモノクロになる黒澤明監督へのオマージュ「黒澤モード」に加え、新たに二つのユニークなモードが追加されます。
一つは、映画監督・三池崇史氏の名を冠した「三池崇史モード」。このモードではカメラがキャラクターに接近し、戦闘における血や泥の表現を強調。斬り合いの生々しさがダイレクトに伝わってきます。これは、同監督の「十三人の刺客」を思わせる迫力の演出で、より強烈な刺激を求めるプレイヤーに応えるものです。
そしてもう一つが、本作の革新性を象徴する「渡辺信一郎モード」。「カウボーイビバップ」などで世界的に知られる同氏が監修し、探索や戦闘中に心地よいローファイビートが流れます。これは単なるBGM追加ではありません。多くのプレイヤーが探索時に好きな音楽を聴くという、現代的なプレイスタイルを公式が肯定し、ゲームデザインに取り入れた画期的な試みなのです。
この機能は「グランド・セフト・オート」のラジオ局のように、気分で世界の雰囲気を変えることを可能にします。ドラマティックな場面では本来の音楽に没入し、広大な原野を駆ける際にはリラックスしたビートに身を委ねる。こうした選択肢は、ゲームがプレイヤーの感性に寄り添う姿勢の表れであり、体験の質を大きく向上させてくれるでしょう。
あなただけの復讐譚
本作は前作から300年後の世界を舞台に、主人公・篤(アツ)が家族を殺した「羊蹄六傑」に復讐を誓う物語です。その復讐譚は、戦闘と物語の両面で与えられた、極めて高い自由度によって特徴づけられます。
戦闘では、刀(二刀流も可能)、槍、大太刀、鎖鎌、弓、鉄砲など多彩な武器を、状況に応じて瞬時に切り替えて戦えます。敵の武器を奪える一方、自身が武装解除されるリスクも伴うため、プレイヤーはより自由に戦闘スタイルを構築できます。
物語の進行にはノンリニア構造が採用されており、どの敵から倒すかはプレイヤーの自由です。この選択は、単に攻略順が変わるだけでなく、物語の展開や登場人物との関係にも影響を及ぼすでしょう。このプレイヤー中心の設計は、本作の哲学を色濃く反映しています。
そして、その自由な物語は、どこまでも広がる自由な探索によって支えられています。前作同様、野生動物を追って隠された場所を見つけるシステムに加え、本作では「エルデンリング」のように「発見する楽しみ」を重視。遠くに見える興味深い場所へ向かえば、そこに新たな冒険が待っているのです。
結論:次世代のスタンダードへ
Sucker Punchが手掛ける待望の新作「Ghost of Yōtei」の、最新ゲームプレイ映像が公開されました。本作は、高い評価を得た前作「Ghost of Tsushima」をベースに、オープンワールドの常識を塗り替える野心作です。
PS5専用タイトルとして、その性能を最大限に活かした圧倒的なゲーム体験が期待されます。好奇心を刺激する探索、プレイヤーの感性に訴えかける表現力、そして自由度の高い戦闘と物語が融合し、オープンワールドというジャンルに新たな基準を打ち立てることでしょう。
また、限定デザインのPS5本体セット「PlayStation 5〝Ghost of Yōtei〟ゴールド リミテッドエディション」も同時に発表されました。日本の伝統工芸「金継ぎ」と、物語の舞台である蝦夷地の羊蹄山に着想を得たデザインは、主人公・篤の再生の物語を象徴しています。
この限定版にはゲーム本編(ダウンロード版)などが同梱され、10月2日に数量限定で発売予定です。PS5/PS5 Pro用の本体カバーやコントローラーも単体で発売されます。
本作は単なるAAAタイトルに留まらず、今後のゲームデザインの未来を示す一作として、業界全体から大きな注目を集めています。


情報元:Polygon