スクウェア・エニックスの「ファイナルファンタジーVII リバース」は現時点でDLCを含まないと発表。次作の迅速な開発に注力する背景や、マルチプラットフォーム展開を視野に入れた戦略を解説。ゲーム業界全体の変化に対応するスクエニの今後の取り組みとは。
2024年2月29日に発売された「ファイナルファンタジーVII リバース」は、メディアやファンから高い評価を獲得し、「The Game Awards 2024」において最多となる7部門にノミネートされるなど、その品質の高さが広く認められました。本作は、「ファイナルファンタジーVII リメイク」三部作の第二作目として、リメイク作品でありながら、プレイヤーに新たな体験を提供しています。
しかしながら、ディレクターの浜口直樹氏は、最近のインタビューにおいて、「リバース」への追加ダウンロードコンテンツ(DLC)の提供は現時点では予定していないことを明言しました。この決定は、三部作の最終章である第三作の早期リリースに向け、開発リソースを集中させるという明確な戦略に基づいたものです。
DLC非対応の背景と意図
浜口氏は、DLC非対応の方針について具体的に次のように述べています。「ファンが真に求めているのはDLCではなく、シリーズの次章です。そのため、開発チームは第3作目の制作に全力を注ぐことを決定しました。」この決断は、2020年にリリースされた第1作目「ファイナルファンタジーVII リメイク」のDLC「インターミッション」が追加された経緯を考慮すると、異例の決定と言えます。浜口氏は更に、「シリーズの完結作をより早く提供することが、ファンの期待に応える最良の方法だと考えています」と強調しました。
ただし、この発表は現時点での方針であり、将来的な変更の可能性も完全には否定されていません。ゲーム業界の動向や開発状況の変化によっては、この方針が見直される可能性も残されています。
マルチプラットフォーム展開への期待
スクウェア・エニックスは、近年、マルチプラットフォーム展開を積極的に推進しています。同社の浜口氏は、ゲーム業界全体のトレンドとして、多様なプラットフォームへの対応が不可欠であると指摘しています。
2024年5月13日に発表された新中期経営計画において、同社はマルチプラットフォーム戦略を明確に打ち出し、主力タイトルを任天堂、PlayStation、Xbox、PCなど、主要なプラットフォームで展開することを表明しました。「ファイナルファンタジー」や「ドラゴンクエスト」といった人気IPをはじめ、幅広いタイトルを複数のプラットフォームで提供することで、より多くのプレイヤーに作品を届けることを目指しています。特に、浜口氏はXboxプラットフォームの潜在力に注目し、プレイヤー層の拡大に期待を寄せています。
この戦略転換は、同社の収益拡大に繋がるだけでなく、ゲーム業界全体の多様化を促進する可能性も秘めています。今後、スクウェア・エニックスがどのようなタイトルをマルチプラットフォーム展開していくのか、業界全体の動向に大きな影響を与えることが期待されます。
スクエニの業界変化への対応
スクウェア・エニックスは、「量よりも質」を重視したゲーム開発へと舵を切り、より多くのプレイヤーに満足いただける作品を提供することを目指しています。同社は、「お客様に喜びを提供し、ブランドへのロイヤルティを高める興奮を保証するタイトルを発売し、定期的にAAAクラスのゲームをリリースすることで、主要なゲームのファンベースを維持および拡大する」と表明しています。
この方針に基づき、同社はマルチプラットフォーム展開を加速させるとともに、各タイトルのクオリティ向上にも力を入れることが予想されます。今後の展開に注目が集まる中、スクウェア・エニックスが発表する具体的な計画や、新たなタイトルに、業界内外から大きな期待が寄せられています。
情報元:GamesRadar