市場調査会社DFCインテリジェンスの最新レポートは、次世代ゲーム機市場で成功を収めるのは2社のみで、その1社が『明らかに』任天堂だと断言。ソニーとマイクロソフトは、価格や発売時期、携帯性が勝敗を分ける中、いずれかが市場から後退する可能性があると予測しています。
ゲーム業界の現状とDFCの衝撃予測
ゲーム業界は、常に進化を続けるエンターテイメント分野の最前線に位置しています。近年、新型コロナウイルス感染症の影響による需要の変動や、技術革新の波など、様々な要因が市場に影響を与えてきました。そのような中、米国の市場調査会社DFCインテリジェンスが発表した最新の市場レポートは、次世代コンソール市場の将来について、衝撃的な予測を示しています。
DFCインテリジェンスは、ゲーム業界に特化した市場調査と戦略コンサルティングを提供する企業で、その分析は業界内で高い評価を受けています。レポートによれば、次世代コンソール市場で成功を収められるのはわずか2社であり、そのうち1社は「明らかに」任天堂であると断言しています。これは、ソニーとマイクロソフトのどちらかが、次世代コンソール市場で大きな苦戦を強いられる可能性を示唆しています。
2025年、ゲーム市場は成長軌道へ
DFCは、任天堂の新しいコンソールと、Grand Theft Auto VI(GTA6)などの大型タイトルのリリースが、ゲーム業界をコロナ禍からの衰退期から脱却させ、2025年以降は成長軌道に乗ると予測しています。具体的には、2028年までにゲーム市場全体が830億ドル(約11〜12兆円)に達すると予想しています。
次世代コンソール機市場において、任天堂が優位に立つ可能性が高いと予測されています。その理由の一つとして、早期の市場参入が挙げられます。任天堂は次世代コンソールを2025年に発売する予定であり、競争が限定的な環境で市場をリードできると見込まれています。
さらに、任天堂が次世代市場で優位に立つ要因として、次世代コンソールが現行Switchとの下位互換性を維持することで、既存の1億4600万台という膨大な顧客基盤を活用できる点が挙げられます。これは非常に大きな強みとなります。
市場調査会社DFCは、任天堂の新コンソールの販売台数について、2025年に1500万〜1700万台、2028年までに8000万台以上に達すると予測しています。
次世代機市場は二強の構図へ?ソニーとMSの命運
しかし、DFCは、2028年までに新しいゲーム機が発売された場合、ソニーとマイクロソフトのうち、任天堂と競合できるのは1社のみであると予測しています。「2つ以上の主要なゲーム機が市場に共存する余地はない」とDFCは指摘し、ソニーとマイクロソフトのどちらかが、大きく後退する可能性を示唆しています。
どちらの企業が苦戦を強いられるのかは、現時点では時期尚早としています。価格、発売日、携帯性などの要素が、最終的な勝敗を分ける要因となると分析しています。
ソニーとマイクロソフト、それぞれの強みと戦略
ソニーは、長年にわたり培ってきたPlayStationブランドと、「God of War」や「The Last of Us」といった有力な知的財産(IP)を強みとし、ゲーム専用機市場における確固たるプレゼンスを維持しています。近年では、PS5 Proの発売や、クラウドゲーミングサービスへの注力など、次世代を見据えた戦略を展開しています。
対照的に、マイクロソフトは近年、ZeniMax Media(Bethesda Softworks傘下)やActivision Blizzardといった著名なソフトウェア企業を相次いで買収し、コンテンツの拡充を積極的に進めています。マイクロソフトのこうした戦略は、Xbox Game Passを中心としたサブスクリプションモデルの強化に直結しており、従来のハードウェア販売に大きく依存しない新たな収益基盤の確立を目指していると解釈できます。同社Gaming部門CEOのフィル・スペンサー氏は、プラットフォームの垣根を超えた、あらゆるデバイスへの展開にも積極的な姿勢を示しており、ゲーム業界全体のエコシステムに変革をもたらすことを視野に入れていることが窺えます。
こうした両社の動向に対し、任天堂は独自の路線を堅持しています。Nintendo Switchの後継機種に対する市場の期待が高まる中、同社が今後どのような戦略を打ち出すのか、業界内外から注目が集まっています。
DFC CEOのコメント:今後のゲーム業界の展望
DFCインテリジェンスの創設者兼CEOであるDavid Cole氏は、同社のプレスリリースで次のようにコメントしています。「過去30年間で、ビデオゲーム業界は20倍以上に成長しました。ハードウェアとソフトウェアの売上が2年間低迷した後、今後10年間は健全な成長率で再び成長する見込みです。」
また、「2025年は上昇軌道の始まりとなりますが、次世代コンソール戦争で誰が負けるのか、ゲームソフトウェア配信の戦いで誰が勝つのかなど、大きな疑問が残っています。大手パブリッシャーが常緑フランチャイズを中心としたライブサービスに注力しているため、小規模スタジオには多くのチャンスがあるでしょう」と述べています。
次世代コンソール市場の行方
このDFCの予測は、ゲーム業界に大きな波紋を広げています。次世代コンソール市場は、これまで三つ巴戦の様相を呈していましたが、今後二強の構図に変化する可能性が示されています。ただし、これはあくまで予測であり、実際に市場がどのように動くかは不透明です。任天堂の動向や、ソニーとマイクロソフトがどのような戦略を展開するか、今後の動きに注目が集まります。
情報元:VGC