
「Horizon Hunters Gathering」がライブサービス(GaaS)要素を取り払い、小規模協力型へと大きく方向転換。プレイテストの厳しい評価を受けた今回のリブートにより、12月の評価猶予や開発体制の縮小が生じただけでなく、ファン待望の本編「Horizon 3」開発まで数年遅れることとなった核心的背景を追います。
ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)傘下のゲリラゲームズ(Guerrilla Games)が開発中の「Horizon Hunters Gathering」が、ライブサービス(GaaS)要素を撤廃する方向でリブートを進めていることが、海外大手メディアの報道により明らかになりました。本作は当初、継続的な収益化を目指すライブサービス型として制作されていましたが、内部プレイテストでの評価を受け、仕様見直しを行っています。
背景と決定
今回の開発方針転換の要因は、非公開で実施された内部プレイテストにおける参加者からの評価です。ゲリラゲームズは「Horizon」シリーズのマルチプレイ作品として本作の開発を続けてきましたが、テストで得られたフィードバックは想定を下回るものでした。これを受け、同スタジオは2026年6月頃からプロジェクトの再構築に着手したと報じられています。
この決定の背景には、SIE全体が直面しているライブサービス型タイトル事業の課題があります。SIEは2022年頃、収益基盤の多様化を目指して「2025年度までに12本のライブサービスタイトルを展開する」という事業計画を掲げていました。しかし、サービス開始後に短期間で終了となった作品や、開発途中で制作中止となった「The Last of Us」のマルチプレイ作品、「God of War」「Twisted Metal」関連のオンラインプロジェクトなど、多くの課題に直面してきました。
今回の「Horizon Hunters Gathering」における決定は、こうした一連の苦戦を経て、SIEおよびゲリラゲームズが「市場の需要にそぐわない仕様のまま開発を継続するリスク」を回避し、プロジェクトの健全化を優先した経営的・開発上の重大な判断であったと業界内では分析されています。
仕様変更の内容
リブートに伴い、本作のゲームデザインおよびビジネスモデルは根本から見直されています。最大の変更点は、これまで前提とされていたライブサービス要素の撤廃です。
従来の計画では、発売後も定期的なコンテンツ更新やゲーム内課金、シーズンパスなどを導入し、プレイヤーの長期的滞在と継続的な収益化を目指す設計となっていました。しかし、今回の再構築によりこれらの課金構造は取り払われ、明確な終わりと物語性を持つ「ストーリーモードを軸とした小規模な協力型(Co-op)アクションゲーム」へとコンセプトが変更されています。
具体的には、無理なゲームプレイの引き延ばしや煩雑な運営施策を排除し、プレイヤー同士がチームを組んで機械獣の討伐やミッション攻略を楽しむ、シンプルな協力体験へと焦点を絞っています。開発スコープ(制作規模)自体を意図的に縮小させることで、過度な開発コストの膨張を防ぎ、ゲーム本来の面白さと完成度を高める狙いがあります。
今後の展望と体制
方針転換に伴い、ゲリラゲームズ内部の開発体制およびプロジェクトの進捗スケジュールも再編されています。
関係者の証言によると、開発チームには2026年12月までに「刷新されたプロトタイプ(試作品)」をSIE経営幹部に提示するマイルストーン(評価期限)が設定されていると伝えられています。12月に行われる評価において、新たな方向性が満足のいくクオリティに達していると判断されれば開発が継続されますが、期待に満たない結果となった場合には、プロジェクト自体の開発中止を含めた厳格な判断が下される可能性も残されています。
また、開発スコープの縮小に伴い、本作に携わっていたスタッフの人数も調整されています。全社的なリソース配置の最適化を図るため、開発メンバーの一部は別のプロジェクトやスタジオ内の他部門へと再配置されました。限られた人員で集中してリブート作業を進めることで、効率的なプロジェクト推進を図っています。
本編次回作の遅れ
「Horizon Hunters Gathering」のリブート作業や長期間にわたるマルチプレイ開発は、ファンが強く望んでいる「Horizon」本編ナンバリング次回作(仮称)の開発計画にも遅延をもたらしています。
ゲリラゲームズでは、2022年に発売された前作「Horizon Forbidden West」以降、スタジオの主たる開発リソースの多くをマルチプレイ作品へと投入してきました。その結果、本編次回作の開発に携わっているのは現在ごく一部の小規模なチームにとどまっており、本格的な制作段階には至っていません。初期構想や事前準備(プリプロダクション)の段階に留まっているのが実情です。
業界関係者の見解によると、本編次回作が市場に投入されるまでには「さらに数年(Years Away)」の年月を要するとされています。大作シングルプレイヤーゲームの開発期間が長期化する傾向にある中で、マルチプレイ作品へのリソース割り振りが本編の展開速度を鈍化させる結果となりました。
PS5世代での影響
一連の動向は、単一タイトルの問題にとどまらず、PS5プラットフォーム全体のコンテンツ供給戦略という観点から、ゲーム業界内で議論を呼んでいます。
ソニーのファーストパーティ(自社傘下)スタジオ群は、高精細なグラフィックと深いストーリー性を備えた1人プレイ用大作アクションゲームで高い評価を確立してきました。しかし、近年推し進められたライブサービス(GaaS)重視の戦略により、ゲリラゲームズやノーティードッグといった看板スタジオの開発力が長期間にわたってマルチプレイ作品へと割かれることとなりました。
その結果として、これらの主要スタジオがPS5世代の稼働期間を通じて完全新規の本編大作を十分に供給できず、リマスター版や移植版のリリースに留まるという状況が生じています。「Helldivers 2」のような成功例も存在するものの、全体としては開発リソースの分散がPS5独占タイトルのラインナップ強化を阻害した要因の一つと分析されています。
SIEは現在、従来の強みである高品質な1人プレイ用ゲームと、慎重に厳選されたマルチプレイタイトルのバランスをいかに再構築するかという舵取りを迫られています。「Horizon Hunters Gathering」における脱ライブサービスの決定は、同社が量から質へ、そして現実的な開発投資へと戦略を再軌道修正している象徴的な事例と言えます。


